論理的エラー:「主観インプット」の強制遮断
私は長年、どの組織に所属していても「客観視が得意だ」「状況把握能力が優れている」と言われ続けてきました。その得意分野は 、仕事でも大いに役立ちました。
しかしそれは、「自分の主観をインプットすることを禁止する」という、幼少期の生存戦略が生み出した、思考回路の致命的なバグです。
私の「機能特化CPU」は、その分析力・観察力によって、周囲の人間関係、環境、そして相手が私に期待していることなどを手に取るように正確に把握し、最適解を出力します。
しかし、自分の「何をしたいか」「何が好きか」という自己認識(主観)の領域は、まるでブラックボックスのようにさっぱりわかりません。うつ病になり、自分と向き合うようになってから、好きなものを探すようになりましたが、それまでは「趣味」「好きなもの」「今食べたいもの」など、自分の感情が入るものについては、聞かれても答えることができませんでした。
これは、感情や欲望を危険なデータと判断したCPUが、生存のために『主観入力インターフェース』を強制的に遮断した結果です。
論理の起源:欲望と生存危機の強制的な結合
この「主観シャットダウン」の起源は、(闘病体験記)で分析した「罪悪感プログラム」にあります。
私は、4歳の時に自分の感情や欲望を表現することが、母の涙や迷惑を引き出すことを知り、その行動が自分の生存への脅威に直結することを体験しました。
この体験により、私の脳内CPUは、「自分の主観(欲望)をインプットにすると、生存危機につながる」という最悪の結論を導き出しました。
生存を最優先するために、CPUは自己の欲望、感情、意志といった主観的な要素を危険なインプットと見なし、その領域へのアクセスを永久に禁止する生存コードを組み込んだのです。
実際、私が今までした仕事の中で一番困ったのは、主観を基にした仕事でした。
それは食品商品を試食して、「おいしい」「おいしくない」という判断をして商品の導入を決めたり、新商品として開発をする仕事でした。私にとって味覚は、主観的要素が多すぎてコメントすらできない状態でした。
その仕事以外では、人の流れ、世の中の流行、ターゲット層の感想、相手の反応など、様々な情報を人よりも多く集め、細かく分析をすることで活躍できました。
私は、お店に「売れるものを導入しなさい」という指示には正確に対応できますが、「おいしいものを導入しなさい」と言われるとまったく対応ができなかったのです。
外部最適化マシンの現実:高性能な客観視の裏側
私の「客観視」とは、本来の自己理解を放棄し、「外部に最適化された自分」を生存のために作り上げた結果にすぎません。
| 思考の機能 | 現実の機能 | 呪縛の論理 |
| 外部認識能力(客観視) | 相手の状況や期待を手に取るように理解できる。 | 「迷惑をかけない振る舞い」という最適解を瞬時に導出するための生存必須機能。 |
| 自己認識能力(主観) | 自分が何をしたいか、何が好きかがさっぱり分からない。 | 「生存を脅かす危険なインプット」が入力されることを防ぐための強制遮断機能。 |
私が「常に物事を俯瞰で見ている」と言われるのは、自分の欲望がゼロに設定されているからこそ、冷静に分析できることの裏返しです。
私のCPUは、外部情報(相手の機嫌、期待、環境のルール)だけをインプットとし、「この環境でどうすれば最もコストをかけず生存できるか」という最適な行動を出力することに特化した、高性能な外部環境適応マシンとして機能し続けたのです。
論理的結論:主観なき完璧主義の破綻
この「主観を廃棄した外部最適化」こそが、うつ病という論理的な燃料切れを招いた根源の一つです。
Satsuki式・再起動の方法:論理による主観の解凍
この致命的なバグを解消するには、「主観入力インターフェース」を再起動する必要があります。しかし、感情を危険視する私のCPUは、感情的なアプローチを拒否します。
そこで、「論理」というCPUの得意分野を活用します。
「思考の交通整理」は、外部の論理でしか動かせないCPUを使い、凍結された「主観(感情)」の領域を、「これは危険ではない」と論理的に分析し、解凍する唯一の方法です。
「自分が何をしたいか」が分からない場合、まずは「何に強い拒否反応が出るか」というネガティブな主観の信号を論理的に整理することから始めるのです。
合わせて読んでほしい:
【Satsuki式マインドセット】うつ病の「思考の燃費」を改善!紙とペンで客観視する「交通整理」の具体的方法
【Satsuki式マインドセット】「やりたい」だけでも立派な理由です。真面目な人が「将来のため」に今を犠牲にするのをやめる方法

