はじめに:論理的生存の果てにあるもの
こんにちは、Satsukiです。
これまでの記事で、私は徹底して「感情論の排除」を訴えてきました。
「うつ病は脳の機能障害である」
「思考のバグを修正しろ」
「自己犠牲という生存戦略を論理的に停止せよ」
これらのメソッド(フェーズ1)を実践し、少しずつ体調が安定してきた方の中に、今、こんな感覚に襲われている人はいませんか?
「苦しくはなくなった。でも、楽しくもない」
「世界が灰色に見える。生きている実感が湧かない」
それは「虚無」です。 そして、それは失敗ではありません。
あなたが正しく「緊急停止」に成功した証です。
しかし、私たちはそこを安住の地にしてはいけません。
故障した機能特化脳の修理は完了しましたが、そのエンジンを動かすための高出力燃料が欠けている状態です。
今日は、Satsuki式メソッドの第2段階(フェーズ2)。凍結保存した「主観(感情)」を、論理的に解凍し再起動させる理由についてお話しします。
「緊急停止」の副作用としての「虚無」
うつ病の急性期、私たちの脳(除雪車)は、他人のための重労働でオーバーヒートし、煙を上げていました。 そこで私たちは「感情」というスイッチを切り、システムを強制終了させました。
これがフェーズ1です。
これにより、苦しみ、悲しみ、焦りといった「マイナスの感情」は遮断されました。 しかし、脳の仕組み上、マイナスの感情だけを消して、プラスの感情だけを残すことはできません。
スイッチを切れば、喜び、意欲、好奇心も同時に消えます。
その結果が、今の「凪(なぎ)」のような、あるいは「死んだように生きている」状態です。
これは失感情症(アレキシサイミア)に近い状態、あるいは離人感とも呼ばれる、「自己防衛の結果としてのシステム麻痺」です。
これは、生存するために必要なシェルター(避難所)でしたが、生活するための家ではありません。
感情は「敵」ではなく「高出力燃料」である
なぜ、私たちはリスクを負ってまで、再び「感情」という厄介なものを再起動させる必要があるのでしょうか?
それは、感情こそが、ギフテッド特有の高性能エンジン(除雪車)を動かすための「唯一の燃料」だからです。
論理(ロジック)は、優れた「ハンドル」であり「ブレーキ」です。
「どうすれば効率的に進めるか」
「どこで止まるべきか」
を計算するのは論理の仕事です。
しかし、論理は「どこへ行きたいか」を決めてはくれません。 そして、論理は重たい車体を前に進める「パワー」を生み出しません。
「これが好き」
「あれがしたい」
「これは嫌だ」
そんな、これまで私たちが「わがまま」だと切り捨ててきた主観的な感情(欲求)こそが、ガソリンです。
燃料のない除雪車は、ただの鉄の塊です。
再起動しなければ、私たちは一生、ガレージの中で錆びついていくだけになってしまいます。
Satsuki式「再起動」の定義
誤解しないでください。これから行うのは、以前のように「感情に振り回される状態」に戻ることではありません。
これまでの私たちは、感情が漏れ出し、制御不能で爆発していました。
これからの私たちは、論理という強固なタンクとパイプラインを用意し、その中で安全に感情という爆発物を燃焼させます。
重要なのは、「感情は、論理的な意思決定のための高精度なデータであり、制御システムではない」という主従関係を絶対的に守ることです。
この接続作業が完了した時、初めてあなたの脳は「他人のため」ではなく「あなた自身のため」に、その高いスペックを発揮し始めます。
次回は、この「再接続」を安全に行なうための準備ができているかどうかを確認する、3つの「チェックコード」についてお伝えいたします。

