はじめに:抽象的な「悩み」を、処理可能な「データ」に落とす
人を最も疲弊させるのは、
明確な問題ではない。
正体の分からない
「不安」「悩み」「引っかかり」
といった未処理データの山だ。
脳はそれらを同時並行で処理しようとして、
常に渋滞を起こしている。
私はこの状態を、
思考の交通渋滞と呼んでいる。
この渋滞を解消するために設計したのが
「思考の交通整理」という介入法だ。
感情を扱わない。
評価もしない。
頭の中のすべてを処理対象データとして扱う。
この記事では、
私自身が実際に行った
極めて現実的で、再現可能な実践ログを公開する。
私の脳内は「赤信号」だらけだった
仕事の責任から物理的に解放された後も、
脳の疲労は一切抜けなかった。
当時、私の頭の中を占拠していたのは
次のような信号だった。
どれも、
今この瞬間に解決できるものではない。
にもかかわらず、
一つ考え始めると、
別の不安が連鎖的に立ち上がる。
脳内は常時、
赤信号が点滅する交差点状態だった。
Satsuki式:思考の交通整理・実践4ステップ
重要なのは、
これを「気分転換」や「内省」として扱わないこと。
事務作業として実行する。
ステップ1:強制的な「全排出」
考えない。
整理しない。
ただ排出する。
頭に浮かんだことを、
一枚に一信号として紙に書き出す。
ポイントは三つ。
思いついた瞬間に書く。
それだけでいい。
この段階での目的はただ一つ。
脳から信号を外部に退避させることだ。
ステップ2:信号を「処理可否」で分類する
エネルギーに余裕のあるとき、
書き出した紙を二種類に分ける。
青信号
→ 今、具体的な行動で前に進めるもの
赤信号
→ 今、考えても何も進まないもの
この分類で重要なのは、
「重要かどうか」ではない。
今、処理できるかどうかだけを見る。
私の場合、
大量に出てきた信号の大半は赤信号だった。
つまり、
脳は不要な処理を延々と続けていたことが
データとして可視化された。
ステップ3:赤信号を物理的に廃棄する
赤信号に分類した紙は、
丸めて捨てる。
理由は単純だ。
「考えないようにする」のではなく、
処理対象から外す。
物理的に捨てることで、
脳は「これはもう扱わなくていい」と認識しやすくなる。
ステップ4:青信号の「負荷」を測る
青信号のタスクには、
それぞれ実行コストがある。
そこで、
完了までに必要そうな負荷を
主観でいいので数値化する。
- 5%
- 20%
- 40%
そしてその日の自分に問いかける。
「今の自分は、何%元気か?」
今の残量で処理できるものだけを選ぶ。
できないものは「今はやらない」と決める。
それだけで、
それは思考のゴミではなくなる。
交通整理がもたらした3つの変化
1.不安が「処理可能な形」に変わった
漠然とした不安は、
最もエネルギーを消費する。
交通整理によって、
それらは
「終われば消える項目」に変換された。
視界が一気に開けた感覚だった。
2.脳が無駄な稼働をやめ始めた
赤信号を処理対象から外したことで、
脳は同じことを反芻し続ける必要がなくなった。
これは、
不採算事業の停止と同じだ。
3.「できていない自分」への罪悪感が消えた
タスクの総負荷と、
その日のエネルギー残量を並べて見る。
すると、
できていない理由は
怠けではなく物理的に無理だと分かる。
これは感情ではなく、
数字による納得だった。
まとめ:交通整理は「回復の基礎工事」
思考の交通整理は、
一度やって終わりではない。
工事中の道路と同じで、
整理をやめればすぐに渋滞は戻る。
だから、
渋滞を感じたらまた整理する。
このルーティンは、
脳を守り、
回復に使うエネルギーを確保するための
最も基礎的で、最も効果的な介入である。

