【闘病体験記】うつ病期の夜を救った「長時間配信」:脳疲労を避ける安全な現実逃避法

闘病体験記

今回は、うつ病と闘病している時に心の拠り所となったもの、特に『脳の疲労を避け、現実から安全に離脱できる環境』の重要性について、私の体験からお話します。

体験談ですので、すべての人に当てはまるわけではないと思います。ただ、なにかの参考になれば幸いです。

Switchを買ってみたものの

リングフィットアドベンチャーができない

以前の記事で、妻の勧めでSwitchを買った話がありました。欲しいけど、それだけしか理由がないので買う必要はないと思っていた私のお話です。
【備考リンク:「やりたい」だけでもそれは立派な理由です

実際、Switchを思い切って買ったのですが、当然ゲームソフトも必要です。そして、その時買ったのが、「リングフィットアドベンチャー」でした。リングを持って、画面に合わせて運動するゲームです。買った理由は、「面白そう。」ということと「最近運動不足だから、運動不足解消になるかな。」ということでした。

まだ、「やりたい」だけでは行動できていない私がいます。

診断される少し前なので、数週間は遊んだ気がします。ただ、診断されて気が抜けてしまったのか、まったく体が動かなくなるとリングフィットアドベンチャーで遊ぶことすらままなりません。

  • 気分転換が必要だとは自覚している。
  • Switchは持っている。わざわざ買ったので使うべきだと思っている。
  • 新しいゲームソフトを買うという選択は考え方として、まだできない。

そんな理由で、無料で配信をしていたFPSゲームのAPEX Legendsをやり始めます。一人称視点で相手と撃ち合う戦闘オンラインゲームです。敵は全員、どこかでプレイしている人間です。今思えば、「対人ゲームであんなにアドレナリンが必要なゲームを、なぜ始めたんだ!おかしいだろ!」とは思います。

正直、ゲームはなんでも良かったんです。「興味がある」「やってみたい」という感情はほぼ湧かず、多少気になるものがあっても自分の娯楽だけのためにお金を使うことに当時の私はまだ大きな抵抗がありました。そもそも選ぶという行為をするエネルギーがありませんでした。

それでもAPEXだった最大の理由は「無料だから」。それだけです。

余談ですが、うつ病の時には

  • 安全安心で
  • 一つのことに集中できて
  • 現実世界から離れることができて
  • 小さなものでも達成感を感じることができる

という理由で、Minecraftが良いらしいですよ。なにかを作ることに励んでもいいですし、ただ木を切るだけ、山を削って整地するだけでも、現実から離れられます。そして、音楽も控えめで、キャラクターの動作の音はASMRのような心地よい響きがあります。

まあ、ゲームをしようかなという気持ちが出てきてからの話ではあります。そこに行くまでに、超えないといけない障害があることは確かです。

話は戻ります。

実は、元々私は妻の影響でニコニコ動画やYouTubeで配信をしているナポリの男たちが大好きなんですね。ナポリメンバーのキーホルダーもぬいぐるみ達も部屋にあります。そしてその頃、ちょうどナポリメンバーのshu3さんが、ぶいすぽっ!の胡桃のあさんと歌衣メイカさんとチームを組んで、初めてAPEXの大会に出るために特訓をしている時期でした。

最後にやったゲームが、三國無双2(PS2版)だった私がぬるぬる動くゲームにどれほど感動したことか。そして、FPSというシステムも初見だったので驚愕でした。とはいえ、うつ病で感情はほぼ動かないので、その感動はきっと妻に届くほどには表現されてなかったとは思います。

そしてAPEXをダウンロードして、やってみました。ただ、うつ病で情報処理能力が崩壊しているので、何をしているのか分かりません。そして、shu3の大会を含めた配信も見るのですが、展開が早くて何をしているのかさっぱり

アーマー交換をしようとしたshu3のアーマーが瞬時に盗られてしまい、裸で走ることになった事件なども、その時は意味が分からず数ヶ月後に大爆笑したのを覚えています。(知っている人にだけ分かる話をして、すみません。)

でも、せっかく出会ったゲームなのでやってみようかなと思いひたすらやりました。

一日中やっているのですが、全くうまくなりません。ウロウロして、敵に出会って瞬殺されて。それをひたすら繰り返していました悔しくもなんともなく、上達もせず。

脳が停止していたんでしょう。長時間やっても疲れも感じないし、「次はこうしよう」なんて反省もありません情報が上滑りしていたんだと思います。ただ、単純作業のように無表情で、無感情で、「参加して、負けて。参加して、負けて。」を繰り返していました。

振り返ってみると、ちょっとしたホラーのようです。

あるVtuberとの出会い

そんな時に、妻から「VtuberですごくAPEX強い人がいるらしいよ。」と教えてもらいました。

それまで毎日仕事のことだけを考えて、休日もプライベートもすべて仕事のためにあるような生活をしてきた私。Vtuberという存在には、胡桃のあさんが初めての出会いでした。のあちゃんのAPEX配信もそれまで見ていたのですが、他の方とのコラボが多く情報量が多すぎてそのころの私には長時間は無理でした。脳が追い付かないのです。

そして、妻から告げられたVtuberの名前は湊あくあさんでした。今は活動終了されていますが、すごく強いと有名な方です。そして、私に最適な理由が揃っていました。

  • 強いうえに、プレイに華があるので見ていて飽きない
  • 陰キャなので、コラボが少ない。
  • 基本、会話は一人語り。もしくはリスナーのコメントと会話。
  • チームの人とのボイスチャットをONにしない
  • 敵も含めて、他の人の悪口を言わない。

情報量が程よかったこともありますし、一番はどんな状況でも相手の悪口を絶対言わないところがありがたかったです。うつ病がひどい時は、自分とは関係がないことでも自分のことのように聞こえてしまいます。

APEXは戦闘のゲーム。配信者によっては、汚い言葉で罵ったり、コメント欄が罵声で埋まったりする方もいらっしゃいました。

例えば、配信の中で「この仲間、使えないなあ!」という言葉が出ると、それが私に向けられた言葉に変換されてしまうんですね。私は画面越しで見ているだけなのに。今考えると変な話ですが、それが不可避な状態でした。

その中で、湊あくあさん(あくたん)は相手に敬意を持って話すことを心掛けていらっしゃいました。そして、リスナー(あくあクルーと呼ばれています。)にもそうするように呼び掛けるので、クルーも罵声を飛ばすコメントがほぼありませんでした。

長時間配信が救ってくれた

その頃、あくたんは一人でどこまで強さランクを上げられるかのチャレンジをしていました。なので、長時間配信が多かったんです。長時間になると、話すこともそこまで次々出るわけではないので、会話もまったりになります。それが心地よかったです。

うつ病になると、夜眠れません。睡眠導入剤を飲んでいても目が覚め、朦朧とする意識の中でぐるぐるといろんな嫌なことが意識を駆け巡ります。

とはいえ、起き上がる元気もなく、なにかをする気力もなく。そして、妻と同じベッドで寝ているので電気を点けるのも気が引けます。

暗闇でなにかをするにも、ゲームをする気力はなく、YouTubeも動画が終わる度に次の動画を探す労力がかかります。そして見つけた動画が、汚い言葉であふれていたり情報量が多かったりすると、脳が疲弊してしまうのです。

うつ病の脳は、情報の『選択と集中』が極度に困難になります。そのため、次々と刺激や選択を要求されるコンテンツは、脳疲労を加速させます

正直、なにをするにも八方ふさがりの状態です。その中で、あくたんの長時間配信は救いでした。一度動画を回せば、7~8時間続けてくれていることもあります。汚い言葉を聞くこともなく、華があるプレイが見れました。そして、画面操作がいらないのでそのまま寝落ちすることも可能でした。

私が真似できるようなレベルのプレイではなかったので、私のAPEX技術は上がることはありませんでした。それでも戦闘ゲームでありながら、私の頭の中の意識内で起きる不毛な戦闘を回避してくれる癒しの空間でした。

長時間意識を飛ばしてくれるもの

私を救ってくれたのは、あくたんの長時間配信でした。このような『脳の休息』を確保できるコンテンツは、うつ病治療において不可欠なセルフケアです。

これに限らず、

  • 長時間、能動的に動いたり考えたりしなくても良いもの
  • 情報処理ができる量が少なくても問題はないもの
  • 自分が嫌だと思うことに触れずに済むもの
  • 自分が好感を持てるもの
  • 現実世界から離脱できるもの

このあたりの条件をできるだけ多く含んでいるものであれば、うつ病と戦う方の救いになるかもしれません。少し前にアザラシ幼稚園が話題になったことがありますよね。

ああいったものでもいいと思いますし、多少能動的なことができるのであれば「あつまれどうぶつの森」や「マインクラフト」のようなゲームでもいいのかもしれません。

1つの救いに出会えることが、状況を少しずつでも好転させるきっかけになる可能性は十分にあります。

【重要】免責事項と信頼性について

ここに掲載している内容は、すべて私個人の実体験と、一般的な知識に基づいてお話ししています。

この記事は、医師や医療専門家による医学的な診断、治療、またはアドバイスを代替するものではございません。

医学的根拠はございません。専門的な治療が必要な場合、必ず内科・脳神経外科、または心療内科・精神科などの専門医の意見を仰いでください。

当記事を参考に、読者の方が下した判断や行動の結果について、当サイトは一切の責任を負いかねます。

合わせて読んでほしい:
うつ病の再発を防ぐ食習慣:心の安定に欠かせない「脳の材料」を無理なく摂る方法
自律神経を整える習慣:マグネシウムと発酵食品が守る「第二の脳」(腸)の力