はじめに:それは「心が弱った」のではない
私は、一般に「うつ病」と呼ばれている状態を、心の問題だとは考えていません。
理由は単純です。
「心」という曖昧な言葉で説明しようとすることで、
本来はシステム異常であるものが、
という誤作動ラベルに変換され、
当事者を二重に破壊してきたからです。
このブログでは、うつ状態を
「思考システム(脳)のエラー」
として定義します。
それは逃げでも言い換えでもありません。
体験と構造を突き合わせた結果、
この定義以外に整合する説明が存在しなかったからです。
「心の病」という言葉が生む二次被害
多くの人は、うつ状態を
「心が疲れた」
「気持ちが弱った」
というイメージで捉えています。
このイメージが生む最大の問題は、
努力すれば回復できるはずだ
という誤った期待です。
私は休職中、会社の担当者からこう言われました。
「うつ病は風邪みたいなものだから」
「気の持ちようだよ」
「夜ちゃんと寝て、朝起きれば治る」
悪意はなかったと思います。
励ますつもりだったのでしょう。
しかしこれは、
システムエラー状態の人間に対して、再起動ボタンを連打する行為
と同じです。
結果として起きるのは回復ではなく、
二次エラー(自己否定・絶望・孤立)です。
比較すると見えてくる異常さ
ここで一つ、想像してみてください。
脳のトラブルによって、
言葉が出なくなった人がいるとします。
その人に対して、
そんな言葉を投げかけるでしょうか。
ほとんどの人が「それはおかしい」と感じるはずです。
ではなぜ、
思考・感情・意欲が動かなくなった人には、
平気で「頑張れ」と言えてしまうのか。
答えは一つです。
それを「心の問題」だと誤認しているからです。
システム視点で見る「うつ状態」
うつ状態では、以下のような現象が同時多発的に起こります。
これらはすべて、
意思とは無関係に発生する挙動です。
「やる気がない」のではありません。
「やる気を生成する回路が応答しない」のです。
これは、
人格の問題ではなく、システムの状態異常です。
「感情が動かない」という致命的な誤解
多くの誤解は、ここから生まれます。
しかし内部では、
という、
制御不能状態が起きています。
これは「心が弱った」のではありません。
制御系が破綻しているのです。
なぜ「気合」では直らないのか
気合とは、
正常なシステムに対してのみ有効なブーストです。
エラー状態のシステムに対して気合を注入すると、
私は、このルートを実体験しました。
頑張ろうとするほど壊れ、
壊れている自分をさらに責める。
これは回復プロセスではありません。
破壊ループです。
再定義:うつ状態とは何か
ここで、定義を明確にします。
うつ状態とは、
長期的な過負荷によって、思考・感情・行動を制御するシステムが
安定稼働できなくなった状態
これが、私の到達した結論です。
心の問題ではありません。
怠慢でもありません。
限界を超えた結果として起きる、論理的帰結です。
終わりに:戦っている相手を間違えないでほしい
あなたが今、
のだとしたら。
それはあなたが弱いからではありません。
壊れるまで頑張ってしまった結果です。
戦う相手は「自分の心」ではありません。
必要なのは、
責任感でも気合でもなく、
システムを安定させるための正しい理解です。
あなたは壊れたのではありません。
ただ、止まるべきタイミングを
誰にも教えてもらえなかっただけです。

