療養初期から役立ったもの
今回のものは、かなり初期から役立ちました。
療養期間初期は、寝て起きてをするだけでも精一杯。正直、生活しているだけで奇跡的。そんな状況です。うつ病になると、正直食べ物の味がしません。私だけなのかどうかは分かりません。五感が鈍くなる感覚です。それでも徐々に味覚が落ちていたせいか、食べ物の味があまりしていないことには気づいていませんでした。
味がしないので食欲があるとは言い難く、ただ妻が私の体に気を使って作ってくれているものを、愛情と共に摂取していたという状況です。
ちなみに、薬の後押しもあり調子が戻ってきた時に、急に味を感じ始めた時期がありました。その時に食べた森永製菓のダースというミルクチョコレートがすごく美味しくて、泣きそうになったことがあります。ちなみにダースは、前から好きで頻繁に食べていたお菓子です。その日、突然おいしかったんですよね。
妻に、「チョコレートがおいしい!」と異常なテンションで伝えてしまい、ドン引きさせたことが懐かしいです。
とにかく喉が渇く
そんな灰色とも言える生活の中で、地味ですがすごく役に立ったのは、マグカップです。
私は、元気な時に読んでいた漫画「弱虫ペダル」のマグカップを愛用しています。中学生の頃から、お金をかけずに自分の力でどこまでも行ける自転車が大好きでした。その影響もあり「弱虫ペダル」が大好きなんです。
うつ病で療養している時、食欲はなくても喉が異常に乾きました。
職場で勤務している時は、500mlくらいの水筒を持って行って、それを1日かけて飲み干す程度の摂取量でした。それが療養に入ると家にいるということもありますが、気が付くと30分にマグカップ1杯くらいのペースで飲んでいました。そのマグカップには1杯300mlくらい入ります。一番多い時は1日20杯は飲んでいたと思いますので、量としては異常ですね。(あまり飲み過ぎると、水中毒というものになるらしいのでご注意ください。)
まあ、うつ病と診断された頃はすべてが異常だったので私は驚きません。休日1日で体重が5㎏増えたこともありましたから。
その頃はとにかく水が飲みたくて、飲むと落ち着く感じがしていました。
水を飲むことで心が落ち着く
実際、水を飲むことで心が落ち着くというのは、科学的な根拠に基づいた効果が期待できると言われています。
主な理由としては、以下のような点が挙げられます。
ちなみに冷たい水は交感神経を刺激しやすいとされているため、白湯か常温が良いらしいです。私は、図らずも常温でした。
闘病中は、私はこの情報を知りませんでした。おそらく、体が求めていた行動なのだと思います。
お気に入りのものを手元に
その頃、妻は私がいつ倒れても対応できるようにいつもそばにいました。なので、私のマグカップが空になると「お水いる?」と、すぐに注ぎに行ってくれました。
私は部屋の中を歩くのも大変な時期でした。重力コントロール装置があるならば、それが故障して20倍くらいになっているようなイメージです。ドラゴンボールの悟空なら喜んで修行するのかもしれませんが、こちらは生きているだけで精一杯。地べたを這いまわっている状態です。トイレばかりは交代してもらえませんでしたが、妻が常にマグカップを水で満たしてくれていたのは、本当にありがたかったです。
そして、それだけ水を飲むので常にマグカップは視界に入ります。1日に何度も触れます。一日中同じ場所に座るか寝ているかし続けているので、目に入るものは限られています。そのわずかな視界に、そして数少ない触れるものの中に、自分のお気に入りのものを一つでも入れておくことは大事なことだと思います。
最初の頃は、それがお気に入りだったことも忘れてしまっているような精神状態ではあります。しかし、そのマグカップは、『かつて自分に好きなものがあった』という事実を静かに証明してくれる、過去の自分との唯一の繋がりでした。
そのお気に入りの気持ちをふと思い出した時、それは小さな力を与えてくれます。そんな砕けていた小さな力の屑をかき集めて、回復に向かっていくのだと思っています。小さくてもすごく貴重なものです。
お気に入りの気持ちを思い出す瞬間は、私が森永製菓のダースを食べた時のように突然やってくるのだと思います。その瞬間をひたすら待つしかありません。
お気に入りのマグカップを手元に置くことは、その『ダースがおいしかった日』を迎えるための、最も簡単で、最も優しい準備なのです。
体験談として、水をいつでも飲めるようにしておくこと、お気に入りのマグカップを準備することをぜひおすすめいたします。
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