【ギフテッド・AC闘病記】自己存在は「制御すべき危険物」:7歳の入院が証明した自己否定プログラム

闘病体験記

制御不能な自己への警鐘

なぜ、私は常に「自分を制御しなければならない」という強迫観念に駆られていたのか?

それは、7歳の入院という形で、「自分の存在そのものが、制御すべき危険物である」という論理を、親によって体内に直接インストールされたからです。これまでの記事で分析した「成果の否定」や「コストの否定」のさらに根源にある、最も深い自己否定のコードがこの出来事によって刻み込まれました。

この体験記では、「優秀さ」や「貢献」といった行動の問題以前に、「ただ存在している自分」がなぜ制御不能な危険物と見なされたのか、その論理的な起源を分析します。

自分の「特性」=「危険物」と診断された瞬間

私の「自己制御プログラム」は、7歳の入院という形で、最も直接的な方法でインストールされました。

小学校に入学した年の私は、その日たまたま眠くなく、いつも寝るくらいの時間になっても起きていました。普段はきちんと寝ていましたし、その日も「そろそろ寝る時間だな」とは思っていました。

そしておそらくその日、母が疲れていて、私に早く寝てほしかったのだと思います。その日に私がたまたま寝なかったという偶発的なことが起きました。そしてそれは、母にとって大きな負担になり、「制御不能な異常な状態」と認識されました。

母は「寝てほしい」という理由で、自分が飲んでいた大人用の精神安定剤を私に飲ませました。
「ビタミン剤だから。」
と言い、私に飲むように促しながら差し出しました。

私はその薬が、いつも母が飲んでいる精神安定剤だと知っていました。母はそれに私が気づいていないと思っていたようですが、私は気づいていたうえで、それを飲みました

自分の生存権は、「母に迷惑をかけないこと」によってしか保証されない。そして、「母の要求に応える」という生存戦略のコードは、「薬の危険性」という自己防衛本能の論理を完全に上書きしたからです。

その時の私は、「大人の薬を子どもが飲むと危険だ」ということは分かっていました。しかも、その薬が精神安定剤だということも知っていました。母の言いつけで、母の代わりに私が病院にもらいに行っていたからです。(※私が幼い頃は本人でなくても、代わりにもらいに来たと言って受け取ることができました。)

結果、大人用の薬に対する拒絶反応で、目が開かないほど顔は腫れ、内臓にまで蕁麻疹が出るという激しいアレルギーを起こし、私は一週間入院しました。母は私が大人になるまで「卵アレルギーだった」と言い張っていましたし、退院後1ヶ月程度は、つじつま合わせで卵を食べないように言われていました。

この出来事は、私の脳に、極めて残酷な論理的結論を刻み込みました。

それは、「自分の存在(特性)は、偶発的な状況でさえ母の平穏を乱す危険物であり、制御されなければならない。そして、その制御を拒否する肉体的な抵抗さえも許されない。」ということです。

これにより、私は「自己の存在の抑制」というプログラムを、生存のための絶対的なルールとして完全に受け入れてしまったのです。

無限の自己制御が招いた破綻

この「自己制御プログラム」は、成人後も私の人生を完全に支配しました。

このプログラムは、「感情を出してはいけない」「思考を制御しなければならない」「衝動的に行動してはいけない」という形で、常に「自己の存在の抑制」として機能し続けました。

  • 人前で決して弱音を吐いてはならない
  • 怒りや悲しみを即座に分析し、無害化しなければならない
  • 疲労や体調不良を無視し、周りに迷惑をかけることなく活動し続けなければならない

これらすべての完璧主義的な行動は、「ただ存在している自分」が再び制御不能な危険物と見なされ、生存を脅かされることを極度に恐れた結果でした。

この「自己存在の否定」を核とする自己制御の無限ループこそが、他者に迷惑をかけないための完璧主義という形を取り続けます。そして最終的に肉体と精神の限界を超え、論理的な燃料切れ(うつ病)という最終的な破綻を招いたのです。

Satsuki式・プログラムのアンインストールと再起動

この自己破壊的なプログラムを止めるには、まず「プログラムの存在」を認識し、その論理をアンインストールすることが必要です。

自分自身の「やりたいこと」「論理」「感情」を否定することをやめ、自分自身の中に「答え」があると認めることが大切なリニューアルです。その答えが正解かどうかは、誰にも分かりません。正解なんてないのだと、今は思います。

そのために自分の中にある様々なものを整理する「思考の交通整理」を活用することは、再発を防ぎ、「ありのままの自分は制御不要であり、生存して良い」という基本設定を取り戻すために有効な手段です。

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