【自己チェック】 微熱が続くのはうつ病のサイン? 平熱35℃台の私が経験した「隠れ微熱」のSOSと判断基準

症状と原因

はじめに:平熱が低い人ほど見過ごしやすい「隠れ微熱」の恐怖

私もそうでしたが、体調不良の中でも「微熱」は最も見過ごされやすく、「気のせい」「疲れているだけ」で片付けられがちです。

最近こそ、新型コロナウイルスの蔓延を経て「熱があれば出勤をしない」という考え方が広がっていますが、それ以前は「熱くらいで仕事を休むなんて。」という考えの方が私の周りでは一般的でした。

私も38℃の熱があっても出勤していた時代はありました。その頃は「熱があっても出勤するなんて、さすがです。責任感があって、仕事との向き合い方が違いますね。」と上司からも部下からも称えられるような時代でした。今考えると、恐ろしい時代です。

私は元々平熱が35.2℃前後です。学生時代から変わらないのですが、これが私が微熱を甘く見る原因ともなりました。

平熱が低い人は、36℃台後半になっても「37℃未満だから大丈夫」と自己判断し、体が発する深刻なSOSを無視しがちです。周りの人にも、「36℃後半って、熱があるって言えるの?」という反応をされることがほとんどです。

重度のうつ病と診断される1年程前から、体温に異変が起きていました。平熱の35.2℃前後が、出勤時に体温が36℃台後半になり、夜には35℃台に戻る。そして、「熱っぽい日が徐々に増えていく」という状態が、実は私のうつ病の初期症状でした。

この記事では、微熱が続く原因がうつ病にある場合のメカニズムと、他の病気と区別し、病院に行くべきかどうかを判断するための具体的なチェックリストをご紹介します。

うつ病が引き起こす「微熱」の正体:脳の過負荷と自律神経のSOS

うつ病や極度のストレスによって引き起こされる微熱は、一般的に「心因性発熱」または「精神的ストレスによる発熱」と呼ばれ、体に次のようなメカニズムで発生すると考えられています。

脳のエネルギー枯渇(脳疲労)

うつ病の時、脳は常にネガティブな思考や抑うつ状態と戦っており、極度の疲労状態にあります。脳内の視床下部にある「体温中枢」は自律神経によってコントロールされていますが、脳全体が疲労でオーバーヒートすることで、この体温調節機能が乱れ、体温が平熱よりわずかに高い状態が続きます。

この症状は、私がいつも以上に仕事でオーバーワークが続いた時にもしばしば起きていました。

体の拒否反応(出勤時発熱のメカニズム)

今回私が体験し見過ごした微熱はこちらです。

この微熱の大きな特徴は、精神的な負荷がかかる特定の状況でのみ体温が上昇することです。

  • 平熱35.2℃から36℃台後半への上昇
    平熱から2℃近くも体温が上昇しているにも関わらず、一般的な企業の帰宅基準にされることの多い37℃に達していないため、自分も周りも「気のせい」と判断し続けました。
  • 出勤時のみの発熱
    会社の事務所で検温すると高くなるが、夜には下がる。これは体が「これ以上、仕事(ストレス源)に行くのは無理だ」と拒否反応を起こし、熱を出している深刻なサインだと考えられます。

しかし、私は知識不足で「そんなにすぐに体温が変動するはずがない」と思い込んでいました。その結果、「出勤のために歩いたから上がった」「日差しが強かったからかな」など、自分が納得いきそうな答えを当てはめていました。

【自己チェックリスト】あなたの熱はどちら?「心因性」か「感染症」か

あなたの微熱が、通常の風邪や感染症ではなく、精神的なSOSである可能性が高いかどうかを見極めるための判断基準です。

質問心因性の可能性(うつ病の身体症状)感染症の可能性(すぐに受診を)
体温の変動夜や休日になると平熱に戻る傾向がある。朝も夜も体温は高いままで、常に発熱が続く。
発熱の高さ平熱からわずかに高い状態が続くことが多い。(私の場合35.2℃→36℃台後半)平熱から大幅に高い状態が続くことが多い。(私の場合37℃以上)
随伴症状倦怠感が強く、朝の起床困難が目立つ。頭痛や吐き気、動悸を伴うこともある。喉の痛み、咳、鼻水、関節痛など、風邪特有の症状がはっきり出ている。
鎮痛剤の効果鎮痛剤を飲んでも、熱っぽさやだるさはほとんど改善しない。鎮痛剤を飲むと一時的に体温が下がり、症状も緩和される。
他の検査結果血液検査などを受けても、特に異常が見つからない。CRP(炎症反応)の数値など、検査結果に異常が出る。

【補足】一般的に発熱は37.5℃以上とされますが、この表の体温は「あなたの平熱からの上昇幅」として御覧ください。平熱が低い方は、36℃台後半でも深刻なサインです。

【経験者が語る】頭痛が併発している場合の危険なサイン

うつ病の身体症状としての微熱は、頭痛とセットで現れることが非常に多く、体力を奪います。以前の記事でも詳しく解説しましたが、微熱と頭痛が併発している場合は、以下のサインに注意してください。

  • 激しい頭痛
    「ズキンズキンと脈打つような痛み(偏頭痛)」や、「ハチマキで締め付けられるような重苦しさ(緊張型頭痛)」が続く。
  • 頭痛薬の回数
    週に3回以上薬を飲むようになったら、それは対処ではなく「依存」であり、体が環境を変えるよう強く求めているサインです。

参考リンク:頭痛の種類と詳しい対処法については、こちらの記事をご参照ください。】

私が実践したセルフケア:微熱を下げるための行動

心因性の微熱は、体温を下げる薬では根本的に解決しません。自律神経の乱れと脳の疲労を解消することに焦点を当てた対処法が必要です。

私は体のSOSに気づくのが遅かったので、休職してからの実践になってしまいましたが、以下の方法が推奨されています。

  1. 徹底した休息の確保
    「熱がある」ことを理由に、罪悪感なく休むことを自分に許可してください。微熱は「休みなさい」という体からの明確なメッセージです。
  2. 体温を無視しない
    37℃未満でも、ご自身の平熱から大きく上昇しているなら危険なサインと認識し、仕事や活動を中断する判断基準にしてください。
  3. ぬるめの入浴(自律神経を整える)
    ぬるめ(38℃〜40℃)のお風呂にゆっくり浸かり、副交感神経を優位にしてリラックスを促します。この「ゆったりとした時間」を持つことが、自律神経の乱れをリセットし、寝る前の脳をポジティブな状態に導く(Satsuki式マインドセット)ことにつながります。
  4. 呼吸法を取り入れる
    深くゆっくりとした呼吸を繰り返すことで、乱れた自律神経を意図的に整える練習をします。

入浴については、うつ病になるとかなり難易度が上がります。そうならないために、早めに心掛けることが大切です。

【重要】今すぐ専門医の診察を受けるべき危険なサイン

自己判断で「心因性だろう」と決めつけるのは非常に危険です。 微熱や頭痛の裏に、別の重大な病気が隠れている可能性もあります。以下のサインが見られた場合は、迷わず内科、あるいは心療内科を受診してください。

  • 48時間以上続く38℃以上の高熱
  • 激しい嘔吐や、意識の混濁
  • 手足の痺れや、麻痺
  • 激しい胸の痛みや動悸

まとめ:微熱は「休みなさい」という体からのメッセージです

かつての私のように、体温計を見て「大した熱じゃないから大丈夫だろう」と自分を騙し、頑張り続けてしまう人がいたら、どうか無理をしないでください。

新型コロナウイルス蔓延以来、以前に比べて発熱にはシビアな判断基準になってきました。それでも頑張りすぎてしまう真面目な方ほど、気づかないふりをしがちです。

あなたの微熱は、あなたが頑張りすぎて、体が限界だと訴えているSOSです。このサインに心から耳を傾け、「休むこと」という最も必要な選択をする勇気が、回復への確かな第一歩となります。

【重要】免責事項と信頼性について

ここに掲載している内容は、すべて私個人の実体験と、一般的な知識に基づいてお話ししています。

この記事は、医師や医療専門家による医学的な診断、治療、またはアドバイスを代替するものではございません。

医学的根拠はございません。専門的な治療が必要な場合、必ず内科・脳神経外科、または心療内科・精神科などの専門医の意見を仰いでください。

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