うつ病の再発を防ぐ食習慣:心の安定に欠かせない「脳の材料」を無理なく摂る方法

Satsuki式マインドセット

はじめに:食事は「脳への投資」である

うつ病から回復し、日常生活に戻る道のりは、本当に大変なものです。私もまだ道半ば。「完治」という言葉ではなく「寛解」という言葉を使われる病気なので、これからも付き合っていかないといけない病気だとは思います。でも、再発を「遠ざけたい」と願うのは当然のことでしょう。

再発防止と聞くと、「定期的な運動」や「ネガティブ思考の改善」といったマインドセットを思い浮かべるかもしれません。もちろんそれらも大切ですが、私が最も簡単に、そして継続的に実践できると考えるのは、日々の「食事」です。

なぜなら、うつ病からの回復とは、機能が低下した脳を修復することだからです。そして、脳の神経伝達物質(情報通信の物質)は、すべて食事から摂る栄養が材料になります。

うつ病は「脳の疲労骨折」という話を以前書きましたが、骨を修復するのも強くするのも食事から摂る栄養が重要なのは想像がつきやすいですね。カルシウムが足りないと骨粗しょう症になってしまうことと似ています。

食事は、脳への、そして自分自身への、最も基本的で確実な「投資」なのです。

とは言え、ストイックな食生活は必要ありません。闘病中は、料理なんてハードルが高すぎて自分ではできないものです。そして、支えてくれる家族に負担をかけ続けるのも、また辛いものです。再発防止のために消耗してしまうなんて、本末転倒です。

今回は、心が安定するための「脳の材料」を、闘病中でも無理なく、手軽に摂る方法に絞って解説します。

幸せの源泉:セロトニンは「材料」がないと作れない

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは、気分を安定させ、安心感をもたらす神経伝達物質です。うつ病の治療薬の多くも、このセロトニンに作用しています。

このセロトニンは、体内で勝手に作られるわけではありません。食事から摂取する「トリプトファン」という必須アミノ酸が、その唯一の材料になります。

再発防止を目指す上で、この「材料」が脳に常に供給され続けている状態を維持することが重要です。材料が不足すると、気分の落ち込みや不眠につながり、再発のリスクを高めてしまうからです。

【無理なく手軽に】トリプトファンを摂る最強の「脳の材料」3選

食欲がない時期や、キッチンに立つのが億劫な時期でも、トリプトファンを効率よく、そして優しい気持ちで摂れる食材を厳選しました。私は妻が料理をしてくれましたが、私のために妻が苦労する姿は見たくありません。手軽なものの方が、楽な気持ちで摂取できるというものです。

バナナ:最強の「天然の抗うつ剤」

バナナはトリプトファンが豊富で、さらにセロトニンの生成を助ける糖質も一緒に摂れる理想的な食材です。皮をむくだけで食べられるため、「天然の抗うつ剤」と呼んでも過言ではない手軽さです。

【無理なく続けるヒント】
食欲がない朝や、おやつに。「食べるものを選ぶ」という思考力すらない時でも、冷蔵庫に冷やしておけばすぐに栄養を補給できます。長い闘病生活、低価格なこともありがたいことです。

納豆・豆腐:パックを開けるだけの最強食材

大豆製品は、トリプトファンの含有量が非常に多いことで知られています。

納豆や豆腐は、調理の必要がほとんどありません。特に納豆は、ご飯が食べられなくても、タレをかけて納豆だけを口に運ぶだけでも、立派な「脳の材料」補給になります。

私は、それすら億劫な時は大豆由来のプロテイン(ソイプロテイン)の粉を牛乳で溶いて流し込んでいました。その頃は単なる栄養補給として飲んでいましたが、次に出てくる牛乳も摂れてかなり理にかなったものでした。

チーズ・牛乳:安心感を届けるリラックス習慣

乳製品も良質なたんぱく源であり、トリプトファンを供給してくれます。

特に牛乳は、カルシウムの働きでリラックス効果も期待できます。夜、眠れない時や心がざわつく時に、温かい牛乳や常温の水を飲む習慣は、あなたの自律神経をそっと落ち着かせてくれます

チーズも、飴のように個包装されているものや6Pチーズのようなものは便利です。おやつとしていつでも手が届く、テーブルの上に置いておくのもおすすめです。

【無理なく続けるヒント】
以前の記事でも紹介しましたが、お気に入りのマグカップに常温の水を満たしておく習慣は、心の安定に直結します。温かい飲み物であれば、「お気に入りのマグカップ」を使って、自分を労う優しい時間を作りましょう。

私は温かい牛乳が苦手なので、基本的には常温の水でした。たまに白湯にすると気分も変わって妙に落ち着くので、日によって変えてみるのもおすすめです。

【セロトニンの効果を最大化】吸収を助ける栄養素

せっかくトリプトファンを摂っても、それがセロトニンに変わるための「作業員」が不足していては効率が落ちてしまいます。その作業員役がビタミンB6です

ビタミンB6を多く含むもの
マグロ、カツオ、鶏肉、ニンニク、バナナなど。

魚や肉を調理するのが大変な時期は、調理済みのサバ缶(オメガ3も摂れて一石二鳥!)やレトルトパックを積極的に活用しましょう。ツナ缶なども手軽でおすすめです。

完璧を目指すより、「足りないものを補おうとする姿勢」こそが再発防止に繋がります。

結論:優しく始める「脳への食事習慣」

うつ病の再発防止は、今日からできる「小さな食事の選択」から始まります。それは決してストイックなものではありません。

「今日はバナナと納豆を食べたからOK」と、自分を肯定しましょう。脳に「頑張ってくれてありがとう」と感謝の気持ちで栄養を届けることが、心の安定につながるのです。

脳も頑張ってくれているんです。自分を肯定することが難しければ、脳の頑張りを肯定してあげるつもりで、脳にご褒美をあげましょう

無理なく、自分に優しく、脳の材料を補給する習慣を始めてみてください。それが、あなたを長い回復の道へと繋いでくれます。

まずは次の食事で、『一番楽に追加できる脳の材料はなんだろう?』と考えてみてください。チーズを一切れ足すだけでも、それは立派な一歩です。

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