感覚麻痺の論理的分析──なぜ「嫌な気持ち」すら感じなくなるのか?

フェーズ0:システム異常と症状のロジック

はじめに:「何も感じない」状態が示す本当の危険性

強い負荷がかかっているはずなのに、
「つらい」「もう無理だ」という感情が、なぜか出てこない。

体は鉛のように重く、思考も鈍っている。
それでも、「やめたい」という切実な感情すら湧いてこない。

当時の私には、まさにこの状態が起きていました。

それは以前の記事で触れた
「痛みのない下痢」「血便でも危機感を持てなかった状態」と、
同じ層で発生していた感覚入力の遮断だったと、今は整理しています。

感情が消えることは、強さの証明ではありません。
むしろそれは、思考システムが静かに異常モードへ移行したサインです。

この記事では、
私自身が体験した「感覚麻痺」という挙動
システム診断ログとして分解し、
そこから安定稼働へ向かうための再構築の視点を共有します。

感覚麻痺とは何が起きている状態なのか

ここで言う「感覚麻痺」とは、
嫌な感情だけが消える状態ではありません。

  • 嫌だ、つらい、怖い
  • 楽しい、好きだ、嬉しい

こうした感情の振れ幅そのものが極端に小さくなる状態です。

私の挙動を後から整理すると、
大量の負荷が長期間かかり続けた結果、
感情という入力データがほぼ遮断されていた――
そう表現するのが一番しっくりきます。

これは「平気になった」のではなく、
感じ取る余力そのものが失われていた状態でした。

この状態が続くと、
危険なサインほど「見えなくなる」ことが起きます。

Satsuki式 診断ログ:私が体験した感覚麻痺のサイン

① 疲労の警告信号が消えた

明らかに無理な稼働をしているのに、
「もうやめたい」「休みたい」という感情が出てきませんでした。

後から振り返れば、
確かに体は限界を超えていたはずです。

それでも当時の私は、

「まだできる」
「やるべきだからやる」

そう考えることしかできませんでした。

感情によるブレーキが働かないため、
論理だけでアクセルを踏み続ける状態になっていたのです。

この「無感情」は、
私を最も危険な稼働状態へ押し込みました。

② 好きだったものへの興味が消えた

以前は楽しめていた趣味や音楽、映像作品に触れても、
心がほとんど動かない。

「嫌いになった」というより、
どうでもよくなったという感覚に近いものでした。

楽しさや興味といった感情は、
後回しにされ、切り捨てられ、
最後には入力されなくなっていました。

これは、
システムのリソースが枯渇している時に
最も顕著に現れる挙動
だと、今は理解しています。

③ 自分の異常に危機感を持てなかった

前回の記事で触れた
「血便が出ても痛みがなく、受診しなかった」という判断も、
この感覚麻痺と深く結びついていました。

  • 痛みがない
  • 慣れてしまっている

その結果、
「これは危険だ」という感情が立ち上がらなかったのです。

心の感覚入力が遮断されていたため、
身体の警告データも、正しく評価できなくなっていました。

心と体で同時に起きていたこと

私の体験を整理すると、
心と体は同じ構造で入力遮断を起こしていました。

  • 心:
    嫌だ・怖いという感情入力が遮断され、「無」に近づく
  • 体:
    痛みという警告入力が遮断され、「無痛」に近づく

どちらも、
「これ以上の負荷は処理できない」という
システム側の限界通知
だったと考えています。

感覚麻痺から安定へ向かう再構築の視点

感覚麻痺は、壊れた状態ではありません。
負荷が下がれば、挙動は必ず変わります。

私の場合、安定に向かうきっかけになったのは
「自分は今、正常な判断ができる状態ではない」
と認識したことでした。

そこから取った行動は、とても地味なものでした。

  • 負荷を下げることを最優先にする
  • 感情を取り戻そうと焦らない
  • 感じられない自分を評価しない

特に意識したのは、
「感情を取り戻す」ではなく
「負荷を減らす」ことだけに集中することです。

小さな感覚データを拾い直す

感情は、いきなり戻ってきません。

私の場合は、
まず味覚や視覚といった、
原始的な感覚から微細な変化が出始めました。

  • いつもの味噌汁が、少し甘く感じた
  • 窓の外の空が、なんとなく青く見えた

それだけのことです。

でも、「何かを感じた」という事実そのものが、
システムが回復方向へ向かっているサインでした。

感じられない時期があっても、
それ自体を責める必要はありません。

検証ログ:感情は戻る

システム再構築が進み、
負荷が下がり始めたある日。

普段何気なく食べていたチョコレートが、
突然、とても美味しく感じられました。

森永製菓のダースチョコレートでした。

すりガラス越しに見ていた世界の一部に、
急に色が戻ったような感覚。

「ああ、まだ感じる回路は残っていたんだ」
そう実感した瞬間でもありました。

今「無」の状態にいるあなたへ

感覚が消えたように感じる時期は、
あなたが壊れた証拠ではありません。

それは、
これ以上の負荷からあなたを守るために
システムが取った一時的な挙動です。

負荷が下がれば、
感情は必ず戻ってきます。

焦らなくて大丈夫です。
修正は可能です。