はじめに:なぜ思考の「渋滞」は解消されないのか?
以前の記事で、私たちは「思考の交通整理」という技術を学びました。頭の中にある不安やタスクを「データ」として紙に書き出すことで、脳の交通渋滞(ゴミ)を減らす方法です。
しかし、こう思わなかったでしょうか?
「書いても、またすぐに同じ不安が頭を占めてしまう」
「論理では理解しているのに、自己犠牲を止められない」
なぜ、私たちの機能特化脳は、処理できないと分かっているはずの不安を、何度も繰り返し考えてしまうのでしょうか?
Satsuki式論理の結論はシンプルです。それは、私たちの脳が「思考の二重処理」を強制されているからです。
この二重処理こそが、脳のCPU使用率を常に100%以上に保ち、除雪車の燃費を最悪の状態にしている根本原因です。
この記事では、感情を「エラーを知らせる単なる信号」として論理的に捉え直すことで、この高負荷な二重処理を強制停止させる、具体的な思考コードの修正手順(介入コード)を提示します。
「思考の二重処理」のメカニズム(高負荷の原因)
思考の二重処理は、「高性能な論理システム(ギフテッド特性)」と「自己評価依存のバグ(ACの論理的帰結)」が同時に稼働することで発生します。
【ギフテッド特性】「最適解」を求める第1処理の強制稼働
私たちの脳は、極めて効率的かつ正確に「客観的な最適解」を導き出す能力に優れています。これは、「第1処理(論理コード)」、すなわち自己の生存と目標達成のために設計された最も強力なエンジンです。
例えば、ある問題に対し「論理的に判断するなら、自分はAを選ぶべきだ」と瞬時に結論が出ます。
【ACのバグ】「感情的忖度」による第2処理の並行発動
ところが、ACとしての「自己犠牲」や「他者の期待に応えなければ存在価値がない」というバグコードが、この最適解が出た直後に、「感情的な修正処理」を強制的に発動させます。
これが「第2処理(感情/忖度)」です。
このように、第1処理(論理)と第2処理(感情/忖度)が同時に稼働することで、脳のリソースを倍以上消費する「思考の二重処理」が発生し、思考の交通渋滞の質を最悪なものにしているのです。この状態が続くと、当然ながらオーバーヒート(うつ病)に至ります。
「エラー信号」として感情を扱う論理的介入コード
思考の二重処理を停止させるための、具体的な3つのステップを提示します。目標は、感情をエネルギー消費源ではなく、単なるシステムアラート(情報)として機能させることです。
ステップ1:感情の「色分け」と「ソースコード」の特定
論理
感情を「処理すべきデータ」ではなく、「システム異常を知らせる信号機の色」として分類し、その発生源(ソースコード)を特定します。
- 信号の色分け
感情が浮かんだら、それを「怒り」や「不安」という感情的な言葉で終わらせず、「色」で分類します。
例:強い不安 ⇒黄色
強い怒り ⇒赤 - ソースコードの特定
次に、「その信号が、システムが求める何を守ろうとして発せられたのか?」を突き止めます。例:(怒り)⇒ 色:赤
⇒ 発生源(ソースコード)
「私の労力/時間が正当に評価されないと、自己存在価値の防御が破られる」
目的
感情が「論理的思考を妨げるバグ」ではなく、「システム異常を知らせる情報(単なる信号)」に過ぎないという事実を脳に再認識させ、感情の力を中和します。
ステップ2:信号を「待機フォルダ」に強制移動させる
論理
信号(感情)が「今、この瞬間に命に関わる緊急事態ではない」と判断できた場合、その信号が第2処理(忖度や自己犠牲)に介入する前に、処理キューから切り離し「待機フォルダ」に強制格納します。
- 分離の実行
紙に「赤信号」や「黄色信号」と事象名のみを書き、その紙を「後で処理するフォルダ(箱)」に入れます。 - CPUの解放
この瞬間、「処理は保留された」と脳に認識させ、思考のCPUを解放します。 - 注意点
感情が強い場合は、「この感情は、今、命に関わるか?」という質問を自分に投げかけ、論理的な緊急性がない限り、処理自体を拒否します。
目的
感情が第1処理(論理)に介入し、二次処理を発動させる前に、そのプロセスを遮断します。
ステップ3:「機能特化脳」への明確な職務命令(自己軸への回帰)
論理
二重処理の根本原因である「他人軸/自己犠牲コード」を無効化し、機能特化脳(除雪車)に本来の職務を再認識させ、自己軸へ強制的に回帰させます。
- 職務命令コードの作成
思考の二重処理が始まりそうになったら、自分自身に以下の「職務命令コード」を繰り返して読み聞かせます。
「あなたの職務は、他人の期待に応えることではない。あなたの職務は、燃費良く、摩擦を最小化する設計図に従い、安全に稼働し続けることである」 - トリガーの発動
論理と感情が混ざり、疲弊を感じるたびに、この「本来の目的(燃費と安全)」を最優先させる論理的なトリガーを発動させ、自己軸を強制的に回復させます。
目的
感情が混ざるたびに、「本来の目的」を最優先させる論理的なトリガーを発動させ、自己軸を強制的に回復させます。
体験として
思考の二重処理は手強いです。どうしても稼働しそうになった場合、職務命令コードを鏡に映った自分の目を見ながら読み聞かせると効果的です。鏡に映った自分に「あなた」という二人称を使って語りかけることで、脳は「客観的な他者」からの指示として、情報を処理しやすくなります。
二重処理停止がもたらす「思考の静寂」
思考の二重処理を停止させると、脳のCPUが解放され、思考の燃費が劇的に改善されます。
これは、あなたの「除雪車」が、雪のない道路(他人軸)で無駄なエンジン音を立てるのをやめ、静かにエネルギーを温存し、本来の出番(自己の才能が生きる場所)に備えている状態です。
この感情の論理的客観視こそが、ACやギフテッドの特性を持つあなたが、自己犠牲という高負荷な生存戦略を最終的に破棄し、新しい自分を再構築するための決定的な一歩となります。
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